雪山に消ゆる面影を求めて
最終話【死闘の果てに見ゆるもの】Aパート
バーン
シンジの狙撃銃から発射された弾は、冬月の頭を目指して飛んでいった。
だが、弾着の直前!
冬月は屋根に残っていた雪に足を取られ、シンジの放った弾丸はヘリに当たり、
跳ね返ってあさっての方角に跳ねて行った。
「ちっ」シンジは呟いた。
次の瞬間、シンジのいる給水タンクの足場に向かって銃撃が浴びせられた。
チュイーン キーン
だが、鉄の足場に当たり、シンジには当たらなかった。
バーンバーン
シンジは二人の兵士に照準を合わせて一人づつ、葬っていった。
ザッザッザッ
研究所内から、増援が現れた。
「冬月は・・」シンジは冬月部長がいたあたりを目で追った。
指揮官らしき男が、冬月をヘリコプターの中に連れて行こうとしていた。
「くそ・・ヘリに乗られたらやっかいだ・・」
シンジは通常弾をマガジンが空になるまで撃ち、増援の兵士の半分程を撃ち殺していた。
敵の兵士も、慎重になり、建物の影から時折撃つくらいになり、膠着状態に陥った。
「ん?」
敵の兵士が物陰から現れ、何かを放り投げた。
「くそっ」
シンジは慌てて、給水タンクの足場から逃れた。
ドカーーーン
シンジが先程までいた場所は、壊れたタンクにつぶされていた。
「くっ」シンジは岩場に積もっている雪の上を転がった。
その時、
チュイーン
シンジの耳の側を一発の銃弾がかすめていった。
「?」
研究所の三階から、2人の狙撃兵が、シンジを狙っていたのだ。
シンジは、そのまま二回転ほどして、雪に覆われた茂みに隠れようとしたが、
狙撃兵が先読みして茂みの当たりに撃って来たので、シンジは横っ飛びに飛んで銃弾を逃れた。
だが、遮蔽物のない、ここで、狙撃兵二人の銃弾を避けるのは、到底出来そうも無かった。
逃げるもならず、銃を構える余裕も無かった。
このままでは、シンジの体力が無くなる時が、シンジの最期の時であった。
「アスカ・・」シンジは仇が目前にいながら、仇を取れなかった事に落胆した。
そして、何度か銃弾を躱していたものの、シンジは雪に隠れていた岩の出っ張りに足を取られて、転倒した。
「くっ・・」シンジは己の身体に銃弾が降り注ぐのを覚悟した。
シンジの目には、自分に照準を合わせる二人の狙撃兵の銃口が写っていた。
バババ
二人の狙撃兵は、横からの機関銃の一掃で、弾けとんだ。
「葛城さん・・」
葛城警備課長が、2人の所員を連れて三階の屋上に現れた。
声は聞こえなかったが、葛城警備課長がシンジに何か叫んでいた。
シンジは立ち上がり、特殊鉄鋼弾のマガジンと差し替えた。
その時、シンジの目の前の給水タンクの残骸の向こうに、
冬月が乗って来た大型ヘリが飛び立った所だった。
「いけっ!」シンジはヘリの操縦席に向かって、特殊鉄鋼弾をセットした狙撃銃の、
引き金を引いた。
バーン
だが、ヘリはシンジに向かい進んで来た・・が、ヘリは下に向かって機首が下がり、半壊した給水タンクに激突した。
そして、ヘリは横転した。
シンジは横転したヘリに向かって走って行った。
「た、助けてくれ・・」ヘリから、冬月がちぎれた右足首を押さえて這い出ようとしていた。
その冬月の顔に影がさした。
「!?」
「冬月部長・・」シンジは銃口を降ろした。
「た、助けてくれるのかね・・碇君」
「いや・・違う・・アスカの仇を取るのは、この銃で無いといけないんだ・・」
シンジは胸からデリンジャーを取り出し、冬月に向けた。
バーン バーン バーン
三度銃声が響き、少しして、遠くでやまびこが響いた
「これは何だ・・」
先程まで冬月だった物体の手に握られていた、
通信機のような物をシンジは手に取った。
1時間後
残存していた、敵兵士は残らず、掃討された。
敵の傭兵部隊の唯一の生き残りは、ヘリの中で片足を挟まれていた、
傭兵部隊の指揮官のみであった。
シンジは狙撃銃を肩にかけて、研究所に歩いて行った。
シンジは研究所員に、歓呼で迎えられた。
だが、シンジの表情はけして明るく無かった。
シンジは自室の中に入った。
シンジはベッドに座り、アスカの写真を見ていた。
「アスカ・・君の仇は取ったよ・・・・アスカ・」
シンジは写真を抱えたまま眠りについていた。
昼の館内放送でシンジは目を覚ました。
シンジはミーティングルームで、A級勤務者と食事を取っていた。
食事を終えた後、碇所長が口を開いた
「幸い、敵の通信衛星は落とした。敵は冬月から連絡が無くて困っただろうな」
「爆撃機も飛び立ってはいないそうです」
「この国だって、そう捨てたものでは無いさ・・インパクト前は、世界三位の軍事力だったんだ」
「で、捕虜はどうした?」
「とりあえず、食事を出すように指示してますわ」
「碇君・・どうしたんだい? 顔色悪いぜ」
「いや・・用が無ければ失礼します」
シンジは席を立って部屋を出た。
「あらら、相変わらず表情暗いわね・・アスカの仇は取ったのに・・」
「仇を取っただけでは、心の隙間は埋めれんよ」碇所長が呟いた。
シンジは廊下を歩いていた。
途中で、ワゴンを突いている綾波通信士に出会った。
「碇さん・・」
「・・それ・・もしかして・・」
「あ、これですか・・捕虜の人用の食事なんです」
ワゴンの上には、ロールパンとシチューが置いてあった。
「一人でか?」
「ええ・・大丈夫ですよ・・紐で縛ってるんですから・・」
「そうか・・気をつけて・・」
綾波通信士は、仮設独房の前までワゴンを突いて行った。
シンジは気になるのか、廊下の角から、その様子を見ていた。
「・・・・」
綾波通信士がワゴンから手を離し、ロックに手をかけようとしていた。
「碇さん・・」
シンジはロックを外した。
ガー
扉が開いた。
奥の方に、両腕を後ろに回して縛られている男が見えた。
「君一人じゃ・・危ない・・」
「ありがとうございます・碇さん」
二人は仮設独房の中に入って行った。
「食事です」
綾波通信士はシチュー皿を手に持ち、スプーンでシチューをすくって、捕虜の口元に持って行った。
「・・」シンジはそれを後ろから見ていた。
捕虜は口を開き、綾波通信士の差し出したシチューを飲んだ。
その後、ロールパンを口に入れて貰っていた。
再び、シチューを飲んだ、次の瞬間・・
捕虜が口に含んでいたシチューを綾波通信士の目に向かって吐き出した。
「あっ!」視界を失った綾波通信士は驚いた。
その隙に、捕虜は両腕を縛られているにも関わらず、綾波通信士にぶつかって行った。
「貴様!」シンジは足首に仕込んである銃に手をやろうとした。
「おっと・・そのまま動くんじゃねぇ」捕虜を縛っていたロープがハラリと解けた。
そして、手首の裾にかくしていたらしい、刃物を、レイの喉に突きつけた。
「くっ・・」
「この女の命が惜しかったら、その扉を開けろ」
「貴様・・日本人か・・」
「早くしろ!」捕虜はレイの首筋に少し刃物を突き刺した。
「ひっ」レイは恐怖に震えていた。
「わかった・・」シンジはカードキーを使い、扉を開けた。
「よし・・おまえが先に歩け! ヘリまで案内するんだ」
「・・・」シンジは捕虜とレイを連れて、出口に向かっていた。
途中のロックはカードキーで外して行った。
シンジと捕虜とレイはヘリのある西側の広場に出た。
そこには二機のヘリがならべられていた。
シンジは一機のヘリの扉を開けた
「通信機はおまえが持っているだろう・・渡せ!」
「これか?」シンジはポケットの中に入れてあった、
冬月部長の通信機を見せた。
「ああそうだ・・」
「まず、彼女を離せ!」
「ちっ」捕虜は綾波通信士を突き飛ばした。
綾波通信士は西側に突き飛ばされて、足をくじいて、軽い斜面を20M程下まで転がっていった。
シンジは綾波通信士の無事を確認してから、手に持っていた通信機を
相手に投げるモーションに入った
「いくぞっ!」
シンジは通信機を放り投げた。
最終話Aパート 終わり
Bパート に続く!
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