L-570の写真
LUXMAN L-570
INTEGRATED AMPLIFIER ¥350,000

1989年にラックスが発売したプリメインアンプ。L-550からL-550X,L-560と続いた純 A級
プリメインアンプの系譜に登場した1台で,このモデルよりパネルレイアウトが大きく変わり,内部
もレイアウトをはじめ各部の設計が新しくなり,強化されていました。

L-570の出力段は,プリメインアンプながら純A級動作で50W+50W(8Ω)の出力を実現して
いました。強力な電源部により,2Ω負荷時には200W+200Wと理論値通りの負荷駆動能力
を持ち,微少入力から大入力まで高品位な再生を可能にしていました。

L-570の内部レイアウト基板パターン

純A級動作による大出力を実現する 電源部は「スーパーレギュレーション電源」と称する強力な
ものが搭載されていました。通常の同クラスのアンプに比べて30%以上大きな大容量の電源ト
ランスを搭載し,各ステージ独立巻線の定電圧電源は徹底した低インピーダンス化が図られて
いました。特にパワー段への電流容量は通常1.5倍のマージンを備え,低インピーダンス化が
達成され,強力なパワー段を支え,高い低インピーダンス駆動能力が実現されていました。
電源極性を正しく合わせることができるラックス伝統のラインフェーズセンサーも搭載されていま
した。

L-570は,アナログディスクのためのフォノイコライザー回路も充実した構成がとられていました。
MMカートリッジ用アンプとMCカートリッジ用アンプがそれぞれ専用化され,独立して設けられて
いました。MCカートリッジ用アンプは,スーパーローノイズ・ハイゲインFETをパラレルで使用した
構成となっていました。MMカートリッジ用アンプ,MCカートリッジ用アンプとも,出力段と同じくA
級動作とされていました。イコライザー回路用の電源部は,定電流と定電圧を組み合わせたロー
ノイズ基準電圧電源を採用することにより,低インピーダンス出力によるきわめてローノイズな電
源としていました。

内部は,シンプルな信号経路と左右対称のコンストラクションがとられ,入力端子からスピーカー
端子まで,できるかぎりスムーズな信号の流れがめざされていました。10系統ある入力の切換は
入力端子に近い最適な位置に置かれ,アース側も含めてリモート切換されるようになっていました。
切換用には窒素ガス封入金接点リレーが採用されていました。スピーカー端子は切換接点をなく
すためA/B切換を無くし専用化され,ヘッドホン端子も排され余分な回路の介在を避けていまし
た。配線材には要所にPC-OCCが使用されていました。そして,これらの純度を高めた内部コン
ストラクションは,無共振化を図られたボトムシャーシによって支えられる構造となっていました。
純A級アンプにつくものの大量の発熱に対しては,放熱効果の高い純銅のフィンを採用した「ハイ
エフィシエンシー・ラジエーター」を新開発して搭載していました。

無共振ボトムシャーシ純銅ハイエフィシエンシー・ラジエーター

アンプにとって重要なパーツである ボリュームには,ラックス自慢の「アルティメート・アッテネーター」が
搭載されていました。通常,アンプに使われるのは連 続可変型ボリュームで,カーボン皮膜の上を 金
属が接触スライドする構造で,摺動部の迷走電流や接点材質などによる性能的問題や限界がありま
す。「ア ルティメート・アッテネーター」 は,新開発のスライドロータリースイッチをベースに,ガラスエポキ
シ金メッキ基板に非磁性体抵抗を1個1個マウントし,ダイキャスト押出材によるシールドケースなどで
構成された32接点ロータリースイッチ型アッテネーターで,ボリュームによる音質劣化を抑えていまし た。
そ の他のパーツも高精度・高品質なものが使 用され,金メッキ・キャップの抵抗,高性能スチロールコン
デンサー,ピュアフォーカス型電解コンデンサーなど音質対策パーツが数多く使用されていました。

アルティメート・アッテネーター

以上のように,L-570は,L- 550,L-550X,L-560と続いたラックス自慢の純A級高級プリメインアン
プの系譜を受け継ぐ1台で,ラックスらしいシャンペンゴールドの品位あるパネルデザインとともに,音楽
を高品位にしっかりと聴かせる味のある1台でした。


以下に,当時のカタログの一部を ご紹介します。



奔放と良識。ラックスの限界提案。
超弩級の低域表現,生命ある音楽エッセンス。


◎生命の響きをありのままに
 ピュアA級50W+50W(8Ω)
◎休止符にさえ生命の血を通わせる
 低インピーダンスの強大な電源部
◎シンプル・イズ・ベストを徹底した
 簡潔な信号経路とコンストラクション
◎深遠なアナログの可能性を引き出す
 MC/MM独立フォノイコライザー
◎必然という名の贅沢
 超大型アルティメート・アッテネーター
◎効率の高い放熱構造の
 純銅ハイエフィシェンシー・ラジエーター
◎すべては無類の音質を守りきるために
 ハイクオリティパーツと純音楽機能
◎オーディオ精神に感応する
 高品位の感触とたたずまい




●L- 570 SPECIFICATIONS●

実効出力 50W+50W(8Ω,A級動作,両ch同時動作)
全高調波歪率 0.01%以下(8Ω,定格出力20Hz〜20kHz)
混変調歪率
0.01%以下(8Ω,60Hz:7kHz=4:1DIRECT)
入力感度/インピーダンス PHONO(MM):2mV/50kΩ
PHONO(MC):100μV/100Ω
CD:150mV/50kΩ
TUNER:150mV/50kΩ
LINE-1,-2:150mV/50kΩ
BALANCE/LINE: 150mV/50kΩ
DAT/TAPE-1: 150mV/50kΩ
TAPE-2,-3:150mV/50kΩ
SIGNAL PROCESSOR:150mV/50kΩ
SN比
(IHF-A補正入力ショート)
PHONO(MM):86dB以上 
PHONO(MC):74dB以上
CD:108dB以上
TUNER:108dB以上
LINE-1,-2:108dB以上
DAT/TAPE-1:108dB以上
TAPE-2,-3:108dB以上
周波数特性 PHONO(MM):20Hz〜20,000Hz(±0.3dB以内)
PHONO(MC):20Hz〜20,000Hz(±0.3dB以内)
CD/TUNER/LINE/TAPE:10Hz〜100,000Hz(−1dB以内)
トーンコンペンセーター 最大変化量:±4.5dB
付属機能
レコーディング・セレクター:(source,off,dubbing1→2・3,2→1・3)
トーン・コンペンセーター,ダイレクトスイッチ,シグナル・プロセッサー
ラインフェーズ・センサー,
ACアウトレット(SWITCHED)2個,(UNSWITCED)1個
電源電圧
AC100V,50Hz/60Hz
消費電力 270W(電気用品取締法の規定による)
外形寸法 438W×176H×467Dmm
重量 30kg

※本ページに掲載したL−570の写真,仕様表等は,1989年
のLUXMANのカタログより抜粋したもので,ラックス株式会社
に著作権があります。したがって,これらの写真等を無断で 転
載・引用等することは法律で禁じられていますのでご注意くださ
い。  
                                      
 

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