PL-7Lの写真
PIONEER PL-7L
STEREO TURNTABLE SYSTEM ¥99,800
パイオニアが1984年に発売したアナログプレーヤーシステム。PL-70,50,30LUとはまた違ったアプローチで
作られたプレーヤーで,機械的なハードさを前面に押し出したデザインは特徴的でした。超高級機P-3aの構造をも
とにした巨大なインシュレーターが印象的でした。

PL-7Lの最大の特徴は,その外観からも分かるように,強力なインシュレーターにありました。「全方向ダブルイン
シュレーションシステム」と名付けられたこの方式は,床と本体だけがフローティング構造になっていた従来のインシ
ュレーションシステムに対し,床とアンダーボード,アンダーボードとキャビネットの間にそれぞれインシュレーションを
装着したダブルフローティング構造になっていました。しかも,低重心構造とラテラルダンパーの採用で,あらゆる方
向からの振動を効果的に抑制する構造になっていました。さらに,ダストカバーの影響を除くために,ダストカバーを
床からもトーンアームやモーターの取り付けてあるキャビネットからもフローティングしているフードインシュレーション
システムも採用されていました。

PL-7Lの内部

トーンアームには,振動解析の結果に基づき,適度なバネ特性を持つダンパーとウエイトからなる副共振体を装着した
DRA(Dynamic Resonance Absorber)方式を採用していました。このDRA方式により,アーム自身の共振を排
除することができ,アーム自身の内部損失に対する制約がなくなったため,ヤング率が高く軽量で比剛性にも優れた
アルミナセラミック製のトーンアームを搭載していました。アームパイプの形状は,重量の面で有利で機械的強度の高
いストレートタイプを採用していました。アームベース,支持部にはアルミダイキャストを採用し,ピックアップ部のサポー
ト部の強度を高めていました。演奏が終わると自動的にアームがリフトアップしてターンテーブルの回転が止まるオー
トリフトアップ方式を採用していました。

PL-7Lのモーターには,原理的にゴギングが発生しないコアレス構造に加え,トルクリップルを極少とする特殊な着磁
方式を採用したクォーツPLL DCサーボモーターを搭載していました。モーターの軸受けにSH・ローター方式を採用と
あいまって回転ムラ0.008%(WRMS・FG直読法)の高い回転精度を実現していました。
ターンテーブルには,直径360mm,重量3.3kg,慣性質量655kg-cmという重量級大型ターンテーブルを搭載し
起動特性1回転(約2秒)以内というハイトルクコアレスDCモーターをあいまって通常の外乱に対してはびくともしない
安定性を実現していました。

以上のように,PL-7Lはそれまでのパイオニアの高級プレーヤーで蓄積された技術やノウハウを効果的に搭載し,高
いコストパフォーマンスと優れた性能を実現したプレーヤーシステムでした。ハードなイメージを前面に押し出したデザ
インが個性的で好き嫌いもあったようですが,ハイコストパフォーマンスの名機だと思います。
 
 

以下に,当時のカタログの一部をご紹介します。

針をおろすたびに深い満足感にひたれる
信頼のリファレンスマスタープレーヤー。

◎高感度,無共振を追求したDRA装着アルミナセラミックス
 ストレートトーンアーム,防振構造ウエイトを搭載。
 レコードに刻まれた音を忠実にピックアップ。
◎演奏終了後,自動的にアームをリフトアップして
 ターンテーブルの回転を止めるオートリフトアップ機構付。
◎3.3kg重量級大型ターンテーブル,ハイトルクモーター搭載
 により,優れた回転精度を実現しました。
◎無共振思想を具体化した,
 全方向ダブルインシュレーションシステムと,
 フードインシュレーションシステムの採用。
◎落ち着いたデザインの黒色木目調キャビネット。
 
 

●PL-7Lの仕様●

■フォノモーター■


モーター コアレスQuartz PLL DCサーボ・ホールモーター
駆動方式 ダイレクトドライブ
軸受構造 SH・ローター方式
ターンテーブル直径 36cm
ターンテーブル慣性質量 655kg-cm2 (ターンテーブルシートを含む)
回転数 33 1/3・45rpm
回転数切換え タクトスイッチに
回転ムら 0.008%以下(WRMS FG直読法) 
0.018%以下(WRMS/JIS)
SN比 85dB以上(DIN−B)
負荷変動 0%(針圧200g以内)
起動特性 1回転以内
起動トルク 1.2kg-cm
速度検出方式 全周積分方式FG
回転数偏差 0.002%以下
ドリフト 時間ドリフト:0.00008%/h 
温度ドリフト:0.00003%/℃
ブレーキ機構 純電子式

  

■トーンアーム■


形式 スタティックバランス型・パイプ交換方式トーンアーム
実効長 282mm
オーバーハング 13.5mm
トラッキングエラー +1.269度 −1.400度
針圧調整 ウェイト1回転3g
適合カートリッジ自重 2.4〜12.0g
高さ調整範囲 +6mm −4mm

■その他■


使用半導体・その他 水晶×1,IC×6,ホール素子×2,LED×6,トランジスター×9
ダイオード×10
付属機構 クォーツロックインジケーター,クイックストップ,オートリフトアップ
消費電力 12W
供給電源 AC100V,50/60Hz兼用
外形寸法 596(W)×215(H)×434(D)mm
重量 17.3kg
※本ページに掲載したPL−7Lの写真・仕様表等は1984年10月のパイオニアの
 カタログより抜粋したもので,パイオニア株式会社に著作権があります。したがっ
 てこれらの写真等を無断で転載,引用等をすることは法律で禁じられていますの
 で,ご注意ください。                                       

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