Technics 7(SB-7000)
3WAY LINEAR PHASE SPEAKER SYSTEM
                  ¥90,000(ネット付1本)
1975年にテクニクスが発売した国産初(世界初?)の「リニアフェイズ」スピーカーシステム。スピーカーの
位相の問題に着目し,特異な形状のエンクロージャーを持った個性的なスピーカーシステムでした。同様の
考え方のシステムとして1年後の1976年にソニーからSS-G7が発売されましたが,テクニクス自身も,
SB-8000SB-10000など,数多くの「リニアフェイズ」の名器を送り出していきました。        

SB-7000の最大の特徴は,言うまでもなく「リニアフェイズ」の名の下に徹底して位相特性にこだわった
設計にありました。帯域の広いスピーカーユニットの特性の良いところだけを余裕を持って使い,各ユニット
の音源中心が側面から見て同一直線上に並ぶように配し,補正のために多少前後位置を調整するという
設計で,特殊な形状のエンクロージャーが出来上がっていました。このような設計により,音圧周波数特性
と位相周波数特性が平坦化し,優れた音像定位を実現していました。

                     

ウーファーは35cm口径のコーン型で,細いスリット状のバスレフポートを持つエンクロージャーに搭載されて
いました。ミッドレンジは,12cmコーン型で,ウーファーとは別の5角形の断面を持つ専用エンクロージャー
に搭載されていました。トゥイーターは,角形ストロンチウムフェライトマグネットを用いた高能率の3.2cmソ
フトドーム型ユニットで,専用の金属プレートのバッフルに搭載されていました。ウーファーのエンクロージャー
の天板のスコーカーの前面に当たる部分には,反射防止のためモルトプレーンがはられていました。    

位相特性を乱さないため,ネットワークやレベルコントロールも位相特性にこだわった特殊な設計でした。特
にミッドレンジ及びトゥイーターのレベルコントロールは,2つの反共振回路を挿入しその回路の共振鋭度の
変化で3段階のレベル調整をする特殊なものを搭載し,レベル切換による位相特性への悪影響を防止してい
ました。                                                           

このように,SB-7000は,位相という問題に早くから取り組んだ先進的な名器であったと思います。特性
の方も,フラットでワイドレンジでありながら93dB/W(1.0m)の高能率を誇り,大型システムながら,アンプ
を選ばず使いやすいシステムでした。音は,当時ライバルといわれたヤマハのNS-1000Mと比べると,や
や暖かめの音と言われていました。ワイドレンジで歪み感も少なく,ジャンルを選ばない音だったと記憶してい
ます。
SB-7000には,ブラック仕上げのオリジナルタイプの他に,受注生産でホワイトタイプSB-7000Wとロー
ズウッド木目タイプSB-7000MPも発売されていました。



このSB-7000の設計思想は,国内の他メーカーにも大きな影響を与え,ソニーのSS-G7などの追随者
を生みました。また,海外のメーカーにも多大な影響があったと言われています。というか現在でもB&W
など海外製のスピーカーにも「リニアフェイズ」の考え方のシステムが見られます。原器SB-7000の方は,
この複雑なエンクロージャーを作る木工職人もいなくなり,コスト的にも大変なものがあったため作られなく
なってしまいました。テクニクスは,1980年代には「リニアフェイズ」の考え方を,平面ユニットスピーカーで
実現していきました。                                                      
 
 
 

以下に,当時のカタログの一部をご紹介します。

 




 
 

音圧周波数特性のみならず    
位相周波数特性をも平坦化した
リニアフェイズの”原器”     

 

●SB-7000主な定格●


型式 3ウェイ3スピーカーバスレフ型
使用スピーカー ウーファー:35cmコーン型
ミッドレンジ:12cmコーン型
トゥイーター:3.2cmドーム型
インピーダンス 6Ω
許容入力 150W(music)
周波数帯域 40〜20,000Hz
レベルコントロール 中域/3段スイッチ型,高域/3段スイッチ型
出力音圧レベル 93dB/W(1.0m)
外形寸法 幅480×高さ845×奥行410mm(ネット含む)
重量 36kg
※本ページに掲載したSB-7000の写真・仕様表等は1976年12月のテクニクス
 のカタログより抜粋したもので,松下電器産業株式会社に著作権があります。し
 たがって,これらの写真等を無断で転載,引用等をすることは法律で禁じられて
 いますので,ご注意ください。
 

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