「蛍守」−2 |
トントントン 「おはようございます、田川さん。 起きて下さい。 朝ご飯できてますよ。」 あれ、返事ないなぁ。 どうしちゃったんだろ。 確かにこの部屋に居るはずなのに。 まだ眠ってるのかな。 よし、もう一度 とドアをノックしようと手をかけた瞬間 「ああ、もういいよ。緑さん。」 後ろからいきなりおばさんの声が聞こえてきた。 あれっと振り向く…… おばさん、いつのまにいたんだろ。 「きっと昨日の晩の酒がきいてるんだよ。 いいよ、無理に起こさなくても。」 「でも……朝ご飯……」 せっかく作ったのに。 「それに仕事で疲れてるんだよ。 休ませといてあげよう………ね。」 「……うん」 う〜〜〜〜朝ご飯… でも仕方ないよね、そういうことなら。 「それじゃお嬢ちゃん、お願いできますか?」 「はい、じゃあ行きましょう。」 少し早めの夕食を終えていよいよ蛍見物ツアーの出発 って、結局このおじ〜さん。 この時間まで寝てたんだけれど。 「も〜〜〜起こさないと起きてこないのかと思った。」 「すみませんね、せっかく朝ご飯を準備していただけてたのに。」 あれ、いつそんな話をしたんだろ。 おばさん、言ってくれたのかな? 「ちなみにお嬢ちゃん。 実は私は朝ご飯は食べられないんです。 だからせっかく準備していただいても…ね。 ごめんなさい。」 「いえ。 こっちこそ知らなかったものですから。 失礼しました。 あ、そろそろですよ。」 |
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