車で会場に向かったのだが、私は高速道路を利用しない主義なので、国道32号線を南に疾走していた。徳島県山城町の吉野川に沿ったバイパスを走らせていた。ここはほぼ直線で信号もないのでスピードが出せる反面、警察が張っている事が多い場所。
平行して走っている土讃線のレールを見るともなく見ていると線路から小さな炎が上がっているのに気づく。周囲に作業員がいる訳ではないので工事のためという事はないだろう。近づいてくると線路のジョイント部辺りが燃えているようだ。なぜそんな所が燃えたのか原因は分からない。
ともかくJR四国に連絡しなければ。最寄駅に向かうためにかなり南の信号から市街地に入り、阿波川口駅へ。しかし、想像通り無人駅で、駅には「問題があれば阿波池田駅に連絡を」と書いているが、肝心の阿波池田駅の連絡先が書いていない。どうしたものかと駅前に出ると二軒ほど先に消防団がある事に気づく。とりあえずそこに知らせると、後はどうしようもないので会場に向かう事にする。
その後どうなったかとか、原因が何だったかは分からずじまいだが、帰りに同じ所を通るとすでに消化されており、列車の通行にも特に支障はないようだった事を付記しておこう。
JR四国にはこうした不慮の事故等の対策のために、無人駅に非常連絡先の明記をお願いしたい。
今回はグリークラブ香川の行事なので、移動には団負担でバスをチャーターし、日帰りで参加するというプランが上がっていた。しかし、私は理由があって団とは別行動で参加する事にした。
その理由とは、私は煙草の煙がダメなのである。実際、バスという閉鎖された空間でプカプカふかされた日には持病の頭痛をはじめ、体調がどうなるか分かったものではない。という訳でちょうど期間内という事もあり、青春18きっぷを使って移動する事にした。無論私も只で転ぶつもりはない。参加するついでに福知山線、加古川線等に乗りに行く予定であった。
会場である加古川ウェルネスパークはJR駅からは結構離れているので移動方法を考える必要があり、加古川ウェルネスパークのHPをチェックしておく。それによると会場へは加古川駅、宝殿駅から路線バスが出ており、15分程で行けるらしい。また、バスの時刻も掲載されていたので書き写しておく。他にも会場周辺の地図が掲載されており、加古川駅から2.6キロだという。これならば無理をすれば歩いて行けなくもない。これらの情報から現地集合時間(10:30)までの予定を立てておく。思えばこの時、せめてバス会社のHPでもチェックしていれば・・・。
さて当日。坂出6:24発のマリンライナーに乗って出発。岡山駅での接続が悪かった(45分待ち)ものの、9:24に加古川駅到着。駅前のバスターミナルに移動する。「確か9:28発のバスが待っている筈。」って。
ない。
バス停で時刻表を見ると9:10発の次は11:10までないという。くそう、いい加減な情報掲載しやがって。
ともかく次善の策を講じないと。とりあえず事務局長に連絡して遅れる旨を連絡しておく。そしてバスターミナルにあった神姫バスのチケット販売窓口に向かい、受付嬢に説明して知恵を借りた所、「10時発の別系統のバスで行ける『升田』という停留所が一番近くまで行けます。」と地図を見せて会場と停留所等の位置関係を説明してくれた。そこからでも途中に4つほど停留所があるのが気になったが。
へっ、タクシー?ただでさえ自腹で移動しているというのにそんな金のかかる方法を使ってまで時間に間に合わそうという殊勝な心がけは持ち合わせてはいない。よって論外!
ちなみに、コンサートに来てくれた知人はタクシーで移動して3,000円程かかったという。
15分程バスに揺られ、市街地を抜けると開発中と思われる地区に差し掛かり、教わった『升田』という停留所に到着(260円)。到着寸前に見た標識によると、会場までは2.6キロあるという。という事は駅からなら直線距離でも6〜7キロは平気であったという事。いい加減な情報掲載しやがって。
ステージ衣装を抱えて寒風を浴びながら「ポリテクセンター加古川」の裏を通り、広い道に出ると停留所を目印に西へえっちらほっちら歩いて行く。ふ〜ん、この辺りは近年再開発に伴って農地を宅地化してできたニューベッドタウンと言った所か。そのため、駅からは距離があり、道路は発達しているものの、住民は自動車による生活に慣れているせいかバス便は少ないようだ。荷物を持つ手がかじかむのに耐えつつ、やがて会場へ通じる道とのT字路を北に折れる。長い上り坂と遠回りして駐車場に入る道筋には閉口した。結果として10:50、20分遅れでの到着は上出来と言えるだろう。周囲に話すと一様に呆れられたのは言うまでもない。
TURKEY'S CLUBのHPでこの演奏会を知った時、私の頭にあったのは「ごめん・なはり線に乗って(演奏会に)行けるかな」という事であった。地図で調べると会場は安芸駅から東へ500Mと歩いても行ける距離。決定!(おい)
という訳で、つい2週間前に完乗を果たしているにも関わらず、あの見晴らしの良さが忘れられず再び訪れてしまう。
後免駅でごめん・なはり線のオープンデッキ付き2両編成の列車に乗り込む。オープンデッキとはその名の通り、南(海)側にベランダのように手すりのついた通路を通した車両で、当然その分座席は減るがこの線特有の見晴らしを自然の風と太陽を浴びながら満喫できる最高の車両である。車両も満席なので後免駅を出ると同時にオープンデッキ(後免−奈半利間のみ使用可)に出てみる。すでに何人かの人が出ていたので避けながら中央へ。その間に列車は高架線に上がり、大きく南へカーブを切っている。ところが、そんな感触は全く感じさせてくれず、気がつけば屋上へ運ばれていたような感じ。見事な敷設技術である。
東土佐に走る三本の鉄路で述べているように、このごめん・なはり線は全線非電化でありながら多くの部分で高架されているので、電化路線のように架線の電柱がなく、おそらくは信号の電線も地に這わせてあるため、路線は周りに遮るものがなく眺望を楽しむ事が出来るのである。開業前からその事は想像していたが、実際に乗ると感動はそれ以上。運営する土佐くろしお鉄道もその事を承知してこのような列車を導入するとは、全く心憎い演出である。他にも安芸市営球場では阪神タイガースのキャンプが行われているので、タイガースカラーの列車を走らせており、今年の優勝で効果は上々であろう。
香我美駅を出るとトンネルに入る。この列車(4860D)は他に比べてゆっくり走っているのでトンネルに入ってもそれほど突風を浴びる事はないのはありがたいが、トンネルに入ってから加速するのはご勘弁願いたい。ちなみに、同じオープンデッキ付き列車でも前回(10/13)乗った4866D(後免駅14:02発安芸行)は比較的スピードが速いので、トンネルに入るとスゴい突風で呼吸が出来ないかと思う程になるのだ。トンネルに入る直前にはアナウンスで「トンネルに入るので手を出したりしないように」という注意が入るのだが、そのうち心無い人間が手を出して大怪我(実際、腕なら引きちぎられるのではと思う)して、それが原因でヒステリックな反対運動が起こり、運行が中止される、などという事が起こるのではないかと心配でならない。素晴らしい列車だけに、今の内にダイヤ改正してこれらの列車をもっとゆっくり走るようにされる事を切に願う。
ここから少しきな臭い話。ごめん・なはり線は最後のローカル新線であるが、沿線住民の希望がよほど大きかったのかと思いたいが、そうとも言い切れない。
勿論、かつて土佐電気鉄道の「後免−安芸」間が廃止される際、当時国鉄後免駅から室戸岬を回って徳島県の牟岐線(徳島−海部)と接続する計画があり、その新線は旧線用地を使用して開業する事を条件に沿線住民が廃止に同意したという経緯があり、現在の第三セクター阿佐海岸鉄道、海部−甲浦間もその一環である(このためか海部−甲浦間は阿佐東線という名称である)。その後、国鉄はJRに変わり、切り離された中村線を引き継いだ第三セクター土佐くろしお鉄道が引き受けて開業にこぎつけたのである。
しかし、高速道路建設と同様に沿線に声の大きい有権者がいて、それを利用して自治体の代表者が業者と癒着して建設にこぎつけるという例も考えられる。北海道の廃止されたローカル線にそういった例があったらしい。だから、問題は開業した後、鉄道や駅を利用した街づくりがなされ、沿線住民に愛されなければ意味はないのである。そういった点はどうだろう。
・後免駅の隣り、後免町駅は土佐電気鉄道後免駅のすぐそばにあり、また空港への直行バス便が出ており、そのために駅前にロータリーが造られ、どちらへも乗り換えが便利になっている。
・のいち駅前には一大ショッピングモールが最近構築され、広い駐車場もあるので車利用者が主ではあろうが、鉄道利用者にも配慮されているのが嬉しい。
・夜須駅前には海水浴場が広がり(こちらも駐車場が充実しているので車利用者が狙いだろうが)、ラジオ等で「駅からすぐの海水浴場」と紹介されていたのを聞いた事がある。
・安芸駅構内には地元の商店が商品を出品して安芸駅ぢばさん市場という店をオープンしている。地元の面白い商品があり、かなり利用価値は高い。
・終点の奈半利駅も駅前開発が進んでおり、構内におしゃれな店が入る等、なかなか今後が楽しみ。
・なにより、これまで乗車した列車。今回を除くと全て単行運転であったが、乗車率はいずれも60%〜100%越えており、JRの下手なローカル線よりも良く利用されている。
平行している国道55号線がかなり整備されている事を合わせて考えるとなかなか愛されており、周辺自治体も駅を中心とした街づくりを行っている事が理解でき心強い。
そして、安芸駅到着。今回は開演時間より少し早めに行き、駅周辺を散策する予定である。旅行情報誌で知った事だが、安芸駅ぢばさん市場では無料のレンタサイクルがあるのでそれを借りて行く。以前書いていた事だが、安芸市の観光拠点は市街地の内外に点在しているので、レンタサイクルの存在は非常にありがたい。
北方15分ほどの所にある安芸城跡へ行く。ここは戦国時代、土佐国が長曽我部元親によって統一される以前、安芸一族という地元の豪族によって治められており、その居城であった。土佐統一前は7つの勢力に分かれていたのだが、その7雄の中でも中村城(現在の中村市)を居城とする公家の一条氏が最大勢力であり、安芸氏はそれに次ぐ勢力であった。やがて長曽我部氏が香曽我部氏や本山氏(SVANHOLM SINGERSの公演のあった本山町の辺りが本拠地)といった他の勢力を傘下に納めたり、滅ぼしたりして中央部を押さえるとこれと戦い、やがてこの安芸城にろう城の末、滅ぼされた。その後、関ヶ原の戦いで長曽我部氏が領国を召し上げられ、山内一豊が入国すると安芸城は家老の五藤氏が納めた。幕府の一国一城令によって廃城となった後もこの地を拠点に領地の経営が行われ、五藤氏やその部下達の子孫は現在も周辺に在住されているらしく、城の石垣の周りには古いものの重厚な屋敷が立ち並び、このうち野村家の家屋が公開されている。城跡は公園となり、中には歴史博物館がある。
しかし、私はこの手の資料館に入ると簡単には出てこないので、開演まで余り時間のない今回は見送り、会場に向かった。
帰りには再びぢばさん市場で弁当を購入していく。上り列車は単行運転ながら安芸駅での乗客を加えて満席となり、一路高知を目指す。
県内の男声合唱団の演奏会だというのに私が情報を得たのは徳島男声合唱団「響」の掲示板であった。前日のグリーの練習時に聞くと、一応首脳部には伝わっていたらしい。
会場の中央後方の席に陣取って開演を待っていると、前にいるビデオ撮影担当者の男性がこちらを見ている事に気づく。あれは・・・、ひょっとしてC?。どうも高校の音楽部の2年後輩にあたるCのように見えるのだが・・・。いやちょっと待て。彼とは九州フレッシュメンコアの演奏会の時に再会して、現在は福岡在住と聞いた記憶が。その時に奥さんも紹介してもらったし。
半信半疑の状態で彼の元に向かうとやはりCであった。聞く所によると、今回参加している丸亀男声合唱団コール・メルと女声合唱団コーロ・アニーロにはそれぞれ父母が在団しており、パンフレットを参照して両団の問い合わせ先になっているメンバーがそうだという。確かに苗字と電話番号が同一であった。おいおい・・・、昔から知っているつもりだったが、合唱一家だったとは初耳だよ。
今日は両親から頼まれてビデオ係として福岡から召集され、奥さんと一緒に日帰りで手伝いに来ているのだという。はあ〜、ご苦労な事だ。
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