北海道駆け巡り旅行編
2003/ 3/31〜 4/10

 「北海道フリーきっぷ」という切符がある。これはJR北海道全線、JR北海道バスの一部が一週間乗り降り自由になるというもので、以前からこの切符を利用してJR北海道全線完乗を狙えないかと考えていました。
 ところが、実際に計画を練り始めてみるとこれが結構大変で、パズルのような面白さがありました。特に2002年10月の東北新幹線八戸延長にともなう津軽海峡線の快速「海峡」の廃止によって北海道への行き来(基本的に貧乏旅行なので18きっぷ使用)が難しくなったので、行きは新日本海フェリー(舞鶴−小樽)を利用する事にする。また、旅程を練っているうちにどんどん規模が大きくなり、廃線代替交通を含めた大掛かりなものになっていったのでした。

3月31日
 岡山から津山線、因美線を経由し、鳥取から山陰本線で綾部へ向かう。速度で言えば山陽本線−山陰本線経由が速いのだが、ついでにまだ走破していない山陰本線鳥取−和田山間、特に余部鉄橋を渡ってみたかったのだ。

 山陰本線をディーゼルカーに揺られていると、ある駅で老女がボックス席の向かいに座り、大きな荷物を荷台に載せようと苦労されていたのでお手伝いをする。さらに私の隣りに出張帰りらしい中年女性が座り、京都行きの特急列車について尋ねられたので説明のために荷物から大判時刻表を出すと驚いたようで「どこへ行くのか」と尋ねられた。北海道へ貧乏旅行に行く途中だと答えると呆れたようで背中をバンバン叩かれた。
 すると向かいの老女が口を開き、自分も18きっぷで九州へ行った帰りだという。その人は90歳になるといい、老人ホームに入居しているそうだが、踊りの先生をしていて、お金が溜まると今回ように18きっぷを利用して旅をしているのだという。隣りの女性と共に目を丸くしつつさらに話を聞いていると、彼女は無謀にも宿泊先を予約せずに旅をしていて、旅先で色々な人に尋ねて宿を紹介してもらっているという。なかでも、年末に夜遅く到着した時、警察に尋ねてまで宿を探し出し、そのおかげで「なんとかなる」という確信を深めて、今も行き当たりばったりの旅を続けているという。
 なんとも驚かされる話ではあったが、生き生きと豊かに老後を過ごされていて、私も憧れてしまった。

 余部鉄橋を通過する。以前、車で鉄橋の下をくぐった事があったが、41.5Mという大変な高さを列車が通過していくのを見て驚嘆したものだ。今回はその鉄橋から車で通った道や家並みを見下ろす。立ち上がって下を見ていると思わず吸い込まれそうな気になってくる。また、落下対策のためかゆっくりと通過していくので次第に足元がフワフワと感覚が薄れていくような錯覚を感じてしまう。

 城崎で途中下車して一風呂浴びてから再び東へ向かう。綾部から舞鶴線に入り21:07東舞鶴到着。すでに街は寝静まっているのかほとんどの店は閉店していたが、舞鶴港まで徒歩移動する間にローソンを発見したので飲食物を買い込んで向かう。
 乗船90分前に手続きをしなければならないのだが、シーズン外のせいか人も少なく、手続きが終わってしまうと結構暇。

 23:30出航。2等客席は一列8人横並びで雑魚寝するのだが、各列2〜3人しかいないのでゆったりとできそうだ。

4月1日
 一日船の中。食堂や売店は時間営業だが、ゲームコーナーやフィットネスクラブ、卓球台等があり、長い船旅を飽きさせないよう色々な施設がある。船尾デッキには、夏に開放されるらしいプールがある。昼間はデッキに出て風に当たったりしていたが、やはり暇。
 夜には煙草の煙を避けられるフロント前のテーブルを占拠して実験室内の雑感第二十二回の草稿を3時間程かけて書き上げる。

 ところで、船内は季節柄か妙に空気が乾いており、少々咳き込んでしまった。これが後に大変な事になったので、このフェリーを使って旅をしようと思われる方は、対策を立てておいたほうがよいでしょう。

4月2日
 函館本線 長万部−南小樽
 4:00小樽港到着。港にある入浴施設で一風呂浴びてから出発する。毎日風呂に入らないと気がすまない性質なので、要所要所で入浴施設を探すのは私にとって重要だったりする。
 曇り空の下、南小樽駅へ向かう。道路に雪は積もっているが、風がないせいか気温は低いと思われるものの、余り寒くはない。途中、いくつか興味深い施設があったが当然ながら開いてはいない。またいつか来る機会があれば見学したいものだ。
 南小樽駅の隣りにサンクスがあり、買い物をしつつ暖をとることができた。

 6:56南小樽発−7:00小樽着
 小樽に着いた頃から日が差してくる。接続待ちの間に駅前大通りを歩き、喫茶店でモーニングでもと思うも適当な店が見つからず、駅のキオスクでお土産寿司を購入して行く。朝から駅弁があったのは助かった。
 8:07小樽発−11:13長万部着
 鉄道ファンには「山線」の名称で親しまれている区間であり景色に定評がある。のみならず、男声合唱ファンならば「忍路(おしょろ)は蘭島から〜」の蘭島駅に反応するであろう。でも、私はすっかり寝てました(意味ねー)。

 室蘭本線 長万部−東室蘭−苫小牧 及び 東室蘭−室蘭
 12:15長万部発−13:01東室蘭着 特急スーパー北斗7号
 太平洋側に出ると青空が広がって日が少し暖かく、地表にも雪は積もっていない。長万部での待ち時間に駅前を歩いていると弁当店を見つける。どうやら特急列車内で販売されている「かにめし」の製造元らしい。鮭(あきあじ)めしを購入。
 内浦湾を右に眺めながら走る。
 13:39東室蘭発−13:52室蘭着 14:00室蘭発−14:13東室蘭着
 室蘭本線の支線部分だが、複線電化されており、列車の編成も長い。室蘭駅に到着して駅構内に向かうと妙に体が重いのに気づく。気合い入れにキオスクで栄養ドリンクを購入して一気にあおる。
 14:16東室蘭−14:48苫小牧 特急スーパー北斗9号

 室蘭本線 苫小牧−追分−岩見沢 石勝線 追分−新夕張−夕張
 15:42苫小牧発−17:48夕張着
 日が西に傾き始める。車内は通学の高校生が加わって少し空席が埋まってくる。車窓に広がるのは原野。四国では(おそらく本州一帯でも)車窓に広がる平野は大抵、田畑か住宅地、工場等、何かに利用されているものだが、ここは見渡す限り原野が広がり、その中を複線の線路と国道が貫いている。ある意味北海道らしい光景だろうか。
 途中駅で下車する高校生を眺める。ホームから駅舎までの長い距離が、かつて沿線の炭鉱から産出される石炭輸送で賑わった昔を想像させてくれる。
 追分から石勝線に入り、夕張に向かう。日が暮れていくにつれて急に寒気を感じ始め、熱っぽくなってきた。単行運転ながらも車内は暖房が効いている筈なのだが。どうやら乾燥した船内と北海道の寒さによって風邪をひいてしまったようだ。
 17:57夕張発−19:06追分着
 夕張駅は雪が積もっていた。一気に風邪が悪化したのか、悪寒がして気温以上に寒く感じてガタガタと震える。折り返して追分に向かう。新夕張駅では運転士がタブレットを駅員に渡している。どうやら、石勝線の新夕張−夕張間で一閉塞となっているようだ。

 20:26追分発−21:11岩見沢着
 追分駅もかつて鉄道の街として賑わったらしく、線路は剥がされているものの、かなり広い構内を持っている。日はすっかり暮れ、駅員もいなくなった駅舎は寒々としていて長い待ち時間を耐える事は難しそうだ。外に出ても隣りのスーパーはちょうど閉店する所で、町はすでに真っ暗であった。
 しばらく駅で震えていたものの、ダメ元で入浴施設を探しに行く。駅前を流れる川に沿って北へ歩いて行くと2軒となりに「ぬくもりの湯」という入浴施設を発見、早速飛び込む。新しい施設らしく清潔で大変気持ち良い。悪寒に震えていた体が芯から温まっていくようで、生き返るというのはこういう感覚だろうか。
 駅に戻る。発車時間が近づいてきたせいか運転士か駅員がホームに現れている。ほぼ同時刻に室蘭本線の上り下り列車、石勝線の到着列車があったので自分の乗る列車を判断するのに往生する。

以下次回

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