裏庭セカンドジェネレーション
CHAPTER 10.5I
第10.5話【
碇アヤの一日
】Iパート
PM8:00
「ミドリお姉ちゃん……いっしょにお風呂はいろ?」
「良かったわね ローラちゃん」
「それじゃ、お先に失礼します」ミドリさんはローラちゃんを連れて風呂場の方に歩いていった。
「さてと、明日の準備をしておかないと」私は立ち上がってキッチンの方に歩いていった。
「じゃ、次入っていい? アネキ」ミライがポテトチップを食べながら声をかけて来た。
「油物ばかり食べてると太るわよ」
「げっヤな事言わないでよ」
私はキッチンで明日の朝食の準備をしていた。
PM8:30
「ふぅ」私は手を拭きながら居間に戻って来た。
「あら、まだお風呂入って無かったの?シンイチ君」私はTVを見ているシンイチ君に声をかけた。
「サードインパクトの特集やってるんですよ 父さんも母さんもお風呂出たけど、
まだ終わりそうに無いから先入って下さい」
「じゃ、そうしよっかな ミライはもう上がったの?」
「途中までTV見てたんですけど、ちょっと前に寝るって言って上にあがりました」
「お父さん達も今日は寝るの早いのね……」
私はお風呂場の前のカーテンで仕切られただけの脱衣所で、服を脱いで中に入った
数分後
「ふぅ〜気持ちいい……あ、タイルの隙間が汚れてるなぁ掃除しなきゃ……」私は湯船に浸かって斜め上の壁を見ていた。
「……ミドリさんもローラちゃんも来週にはいなくなるのよねぇ……」
「あ、そうだ……半身浴ってのが身体にいいってTVでやってたなぁ……今度試してみよう」私は湯船を出て身体を洗い始めた。
身体を洗っている間に身体が冷えないように、ミストサウナ機能が付いてるので、室内は湯気に包まれていた。
「あれ……シャンプーが無い……おかしいなぁ先週買ったばかりなのに」私はシャンプーのパックを逆さにして振ったが出てこなかった。
すでに頭にお湯をかけているから、外に出て探す訳にもいかなかった。
「シンイチ君に取って貰おうかな……」私は風呂場から顔を出してシンイチ君に声をかけた。
「シンイチ君!シャンプーの買い置きが箪笥にあるから取って来てくれない?」
少しして、シンイチ君の返事があったので、私は風呂場の扉を閉めた。
「三日ぐらいで、空になるはず無いのに……」私は身体を冷やさないように湯船に入って待つ事にした。
「ここに置いときますね」少しして、シンイチ君の声がガラスの扉の向こうで聞こえた。
「シンイチ君……ありがと」シンイチ君が去っていく足音を聞いた私は扉を少し開けてシャンプーをとった。
数分後
「ふぅ普段より湯船に浸かったから真っ赤になっちゃった」
私は半身浴だと長く漬かっていられる事に気付いて、普段より長湯してしまった。
「汗かきそうだから、これ着てよ」私はブラジャーを付けずに、シンイチ君のTシャツを素肌の上に直接着た。
私はショートパンツに半袖のTシャツ姿で、居間に戻った。
「ふぅ暑い暑い 長湯しちゃった」
「もうすぐ終わりますから、それから入ります」シンイチ君はそう言いながら私の方に振り向いた。
次の瞬間、シンイチ君の顔が真っ赤に染まった
「どうかしたの?身体の具合でも悪いの?」私はシンイチ君に近づいて手で熱を計ろうとした。
「ち、違いますよ……そんな格好で出てこないで下さいよ」
「え?ちゃんと服着てるけど……」
だが、すでにTシャツは汗ばんでおり……
「そ、それじゃお風呂入ります」シンイチ君は逃げるかのように、居間を出て行った。
「やっぱブラジャーしないと駄目か……」私は居間を軽く片づけて、トイレの横にある洗面所に歯を磨きにいった。
歯ブラシ立てには色とりどりの歯ブラシが並んでいた。
「あらら、私の歯ブラシ、柄が折れかかってる……タイルの掃除用にしようっと」
私は青い柄のシンイチ君の歯ブラシに目がいった。
「今日だけ……借りよっかな」私はシンイチ君の歯ブラシを手に取り歯磨きゼリーを塗った。
「奇麗にしておかなくちゃ……」私は歯磨きを終え、シンイチ君の歯ブラシを洗っていた。
「さてと、戸締まりのチェックしようかな」私は要所要所の戸締まりを確認して、上にあがった。
「さてと、日記付けたらもう寝ようかな……」私は鍵付きの日記帳を引き出しから取り出して、万年筆で書き始めた。
☆月△日
今日はいろんな事があったけど……シンイチ君がキスしてくれた……だから今日はいい日だと思う。
けど……明日MLK先生やゲンちゃんにどんな顔して会えばいいのか解らない……
ミライの事もあるし……考えてても仕方無いか 私は私らしく、皆と接すればいいのよね……
簡単なことなのに……なぜ難しいのかな……
備考:シンイチ君へのサマーセーター に付ける刺繍の図案を考えておきましょう。
私は万年筆を置き、日記帳に鍵をかけて引き出しにしまった。
明日の私への業務連絡って感じかな……私はこうして考えを思考するんだけど……あんまりシンイチ君の事考えてたときなんか
二ページ分も無意識の内にシンイチ君の名前を書き連ねた事もあったっけ……
これは……シンイチ君にも見せられない……
今日はシンイチ君が久しぶりに部屋に入って来てくれて嬉しかった。
昔はよくここで遊んだのに……
私は、シンイチ君がこの部屋に入って来なくなった日の事を
思い出した。
その頃、一階の寝室では……
「ねぇアスカ……風呂でてからなにかしてたのかい?」
「え?シャンプーの瓶を空っぽの奴と取り替えておいただけよ……後はアヤとシンイチ君だけだったから……」
「けしかけるような真似はしない約束だっただろう……」
「だって……自然な形でくっつくのを待ってたら……間に合わないかも知れないじゃない……」
「そりゃ……僕やレイのような事にはなって欲しくないけど……」
「約束の日は近いんだろうか……」
「大丈夫……あの子達なら乗り越えられるわ……」
私は物思いに耽っていたが、シンイチ君が階段を上がって来る足音に気付いた。
私はそっとドアの前に立って、シンイチ君がドアを開けて入ってくる姿を夢想した。
すたすたすた
今日も……私の前を通り過ぎて行くの?
私は服の裾を右手で堅く握り締めながら部屋の前を通りすぎるシンイチ君の足音を聞いていた。
すたすた……部屋を二歩ほど過ぎ去った時、シンイチ君の足音が止まった。
私は心臓が早鐘のように鳴っているのを感じた。
その扉を開けて中に入って来てよ
あなたの心の扉を開けてあなたの全てを見せてよ
私はいつまでも待ってるから……その日の来る事を信じて待ってるから
あなたは一人じゃないの……いつか私達と歩む道が違っても……その事だけは忘れないでね……
私は涙を堪えながら、シンイチ君への思いを、開かれる事の無いドアの向こうに投げかけていた。
「アヤさんおやすみなさい……今日は……ありがとうございました」
微かな声であったが、私の耳はシンイチ君の言葉を一言一句間違える事無く受け止める事が出来た。
再び足音が聞こえ、シンイチ君は私の部屋を通り過ぎていった。
だけど私はもう寂しくはなかった。
例えどれほど二人が離れていても、通じ合うものがあると言う事に気付いたから……
夜の帳が下りて、そして、朝日が登る……
宵闇の中で私は孤独にうちふるえ……夜は均しく人を包みそして均しく眠りの園へ……
朝の光がもたらすモノは……希望か夢か……幻か……
その答を見出すまでに……あとどれぐらいの夜と朝を迎えないといけないのだろうか……
願わくば……共に答を探す人が側にいて欲しい……
この世に神がいるのなら……私達をお導きください。
私は布団をかぶって眠りについた。
シンイチ君……おやすみなさい
10.5話 終 感想フォームの下に後書きがあります。
御名前
Home Page
E-MAIL
ご感想
今のご気分は?(選んで下さい)
よくやったな・・シンジ
問題無い・・・
おまえには失望した
アヤさん萌えぇぇぇぇ
ここに、何か一言書いて下さいね(^^;
内容確認画面を出さないで送信する
どうもありがとうございました!
後書き
最初は、11話が間に合わないための、窮余の一策としての10.5話公開でしたが
書いてる内にノッて来て、いつしかパートを重ねてIパート(^^;
ここまで長くなるとは思いませんでした。
これも応援してくれた 某親衛隊(笑)の皆様と感想を下さった皆様のおかげです。
まだ11話は20行しか出来てませんが(^^;落とさないように頑張りますので、
どうか、見捨てないで下さい(笑)
第11話
に続く!
[もどる]
「TOP」