プリメインアンプのコーナー
国産プリメインアンプは,海外製にはない思い切った物量を
投入したモデルなどなかなか個性的なモデルがそろってい
たと思うのは私だけでしょうか。かつて国産オーディオ界が
華やかなりしころには,そんな個性的で魅力的なプリメイン
アンプたちがそろっていました。各メーカーの熱意が伝わっ
てくるような懐かしの名機たちをご紹介します。
                    
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KENWOOD L-02A
当時,550,000円と,プリメインアンプとしては破格の値段で,今までに
国産アンプにはなかった超弩級のプリメインアンプでした。その未来的な
デザインにも強く惹かれました。しかし,何より強い印象を与えたのは,そ
の音でした。透明で濁りのない高分解能の音には驚かされました。同じク
ラスのセパレートアンプをもしのぐ音だったように思います。電源部が別に
なっていたのも珍しいものでした。このアンプは,今でも十分通用する性能
を持っていたように思います。当時,欲しくてたまらなかったモデルの1つで
すが,学生だった私には到底手が届く代物ではありませんでした。私の先
輩が,ちょうどこのころアンプのグレードアップを考えており,このL−02A
か,セパレートアンプにするか迷っていたのを思い出します。        

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NEC A-10U
コンピュータメーカーと思われていた(今もそう?)あのNECが1983年に
発表したプリメインアンプ。外観はややアマチュア的な左右対称の独特な
デザインですが,その中身はもっと独創的でした。これはその2世代目モ
デルでした。本当は,初代を取り上げたかったのですが,残念ながら資料
が手元になかったので,これを取り上げます。このA−10シリーズはその
後,A−10Wまで続き,さらにNEC内に作られたベンチャー企業オーセン
ティックに受け継がれ,A−10XXとして続いています。その強烈な音と凝
りに凝った独創的な構成で記憶に残るアンプです。            



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Accuphase E-303
1972年に創設されたアキュフェーズ(当時はケンソニック株式会社)が1978年に
発売したプリメインアンプです。同社としては,2代目のプリメインアンプとなります。
さすがに「真の高級品を作りたい。」ということを目指しているメーカーだけあって,
外観と音,どちらをとってもすばらしい完成度でした。初めて見たとき,その優美な
デザインにまず惹かれ,さらに,その音を聴いたとき,外観同様のバランスのとれ
たきわめて繊細な音に心奪われた記憶があります。私は,予算の関係で,その
下のモデルであるE−301を後に購入し永く使いました。(これもすばらしいアンプ
でした。)多くの音楽関係者も使っていたというまさにプリメインアンプの名機であり
大げさでないシステムで音楽を美しい音で聴きたい人にはぴったりの製品でした



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SANSUI AU-D907X
サンスイが1976年のAU607,707より改良に改良を重ね,作り続けている07シリ
ーズの第6世代モデルに当たり,第6世代の中の最上級機がこのAU−D907Xです。
そのモデル名の末尾につくXからもわかるように,本機から「Xバランス」というバランス
アンプ構成になり,それまでのモデルから一段飛躍した時ではなかったかと思います。
私自身にとっても最も印象深いモデルで,力強くクリアな音は今でもはっきりと記憶に
残っています。サンスイの一つのモデルを丹念に改良して作り続けていく態度はとても
素晴らしいものです。ぜひ頑張ってほしいメーカーであることはみなさんも同じだと思い
ますがどうでしょうか。       

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KENWOOD L-01A
トリオが当時,国内で展開を始めたニューコンセプトブランド(実験的高級ブランドくらい
の意味か?)で発売したプリメインアンプ。このLシリーズはいずれも重厚長大な実験
的高級機揃いで,印象的な製品が多かったように思います。
このL−01AがKENWOODブランドでは最初に発売された製品だったと記憶していま
す。電源筐体を別にし,構造体のあらゆる部分から磁性体である鉄を排除した,当時
斬新な設計と,漆黒のパネルにイルミネーションが浮かび上がる未来的なデザインは
非常にインパクトがありました。音も,力強く鮮明でプリメインアンプの枠を超えたもの
でした。       

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SANSUI AU-X111MOS VINTAGE

サンスイが1984年に発売したプリメインアンプ。1979年のAU-X1から始まる
大型のプリメインアンプの系列の3世代目で,07シリーズとは別のコンセプトを
持った実験的な面も持っていた高級機です。このAU-X111はサンスイで初め
てMOS FETを使ったモデルでした。これ以降,サンスイは多くのMOS FETア
ンプの名機を作り出していきます。初期型MOS FETならではのFETらしい音
は魅力的です。                                     


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YAMAHA A-2000
ヤマハが1983年に発売した大型の高級プリメインアンプ。それまでのヤマハの
プリメインアンプは,繊細な外観と音を特徴としていましたが,このA−2000は
大きく変わって堂々とした外観と音を持っていました。それまでのX電源をやめ,
強力で巨大な通常電源を持ったその音は,低音の支えのしっかりしたどっしりと
した音でした。26kgにも及ぶ堂々とした筐体そのままの音が印象に残ってい
ます。                                           

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ONKYO A-820GT
オンキョーが1981年に発売した,当時のインテグラシリーズの最上級機でした。
ツイントランスの強力な電源部とオンキョーの優れたサーボ技術に支えられた鮮
明で力強い音は,当時のプリメインアンプの中でも際だっていた記憶があります。
このころプリメインアンプを物色中だった先輩といっしょに各社のプリメインアンプを
試聴し,強く印象に残ったのがこのA−820GTでした。その先輩も,試聴の結果,
当然このA−820GTを購入し,しっかりした音に満足していたことを思い出します。

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LUX L-550
ラックスが1981年に発売した高級プリメインアンプ。プリメインアンプの筐体に
純A級動作50W+50Wの大出力を内蔵した,当時としては驚異のアンプでし
た。純A級動作のプリメインアンプは国産では本機が初めてではなかったかと思
います。世界的に見ても,純A級動作50Wもの大出力のプリメインアンプは珍
しい存在ではないでしょうか。A級ならではの,繊細でなめらかな音が記憶に残
っています。また,50Wとは思えないしっかりした鳴り方で,しかもラックスらしい
渋みと陰影のある音は魅力的でした。                         

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YAMAHA A-9
ヤマハから1979年に発売されたプリメインアンプ。同社のプリメインアンプ史上
でも最上級機になるのではないかと思います。ヤマハのプリメインアンプは,この
ころCAシリーズからAシリーズとなり,そのトップモデルとして君臨しました。プリ
メインアンプの筐体の中に,パワーアンプB−4に匹敵するB級120W+120W
A級30W+30Wのメイン部を搭載し,多機能と多彩なコントロール機能を実現し
ていました。ヤマハならではの繊細で気品のあるデザインとそのデザインに相応
しい繊細かつしなやかな音は魅力的でした。

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ONKYO A-1E
オンキョーが1992年に発売した「QUEST(クエスト)シリーズ」のプリメインアンプ。
音楽を聴く道具に徹し,オーディオ機器然としたメカニックな外観や多機能を捨てて
内部の充実にあてた設計は新鮮で,まるで海外製のアンプのようでした。1992年
ですからあまり古くはありませんが,きわめて印象的な1台です。この「QUESTシリ
ーズ」には,CDプレーヤーやスピーカー,イコライザーアンプ(A−1Eにはアナログ
用のイコライザーはついていない)などもありました。いずれもインテリアにもマッチし
そうなシンプルでハイセンスなデザインが魅力的で,音の方もこけおどしでない本物
志向の繊細で上品なものでした。      

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SONY TA-F333ESX
ソニーが1986年に発売した中クラスのプリメインアンプ。それまで回路技術や新技
術を中心に展開していたソニーが,このモデルではクラスの水準を大きく超えた物量
を投入してきたモデルでした。その中身は,79,800円とは信じられないほど贅沢
なもので,他のメーカーをアッと言わせるものでした。強力な電源部と頑丈な筐体か
ら出てくる音は力強いしっかりしたもので,この後マイナーチェンジを繰り返してロング
ランを続けました。高価ではありませんが,実力派の名機だったと思います。                                                   


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Aurex SB-Λ77
オーレックスが1980年に発売した高級プリメインアンプ。CDプレーヤーで技術協力
をしていたトリオのΣドライブの向こうを張ってか,スピーカーをフィードバックループに
入れるクリーンドライブ方式を採用し,同社自慢のΛコンデンサーなどの高品質パーツ
を贅沢に投入して完成されたプリメインアンプでした。Λループと称する非磁性化,パ
ーツの高品質化は徹底したもので,当時のオーレックスのオーディオに対する情熱を
感じさせてくれたものでした。


 
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TRIO KA-9900
トリオ(現ケンウッド)が1978年に発売した当時の同社の最高級プリメインアンプ。
左右独立電源,ストレートDCアンプなど当時の同社が誇る技術をフルに投入した高
性能な重量級プリメインアンプでした。シャープな外観が示すとおり,引き締まった音
を聴かせてくれた名機でした。

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PIONEER A-717
パイオニアが1987年に発売したプリメインアンプ。パイオニアは,歴代数多くのプリ
メインアンプを作っていましたが,このモデルは,上記のソニーのTA-F333ESXに
対抗して価格を超えた圧倒的な物量の投入が行われたモデルです。強力な電源部や
ハニカムコンストラクションによる耐振構造など,その後数多くのパイオニア製プリメイ
ンアンプに影響が見られる基本形を作った名機だったと思います。

 
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Victor A-X9
1979年にビクターが発売した高級プリメインアンプ。いわゆる「ノンスイッチング・ア
ンプ」のプリメインアンプ国産第1号でした。この後,国産オーディオ界に「・・・A」とい
うようなネーミングで高効率A級,疑似A級ともいうべき「ノンスイッチング・アンプ」の
ブームが起きました。確かに音の滑らかさが増したような感じを受けたことを思い出し
ます。ビクターはこの方式に「スーパーA」の名を与え,その後も一貫して技術を磨き,
完成度を高めていったメーカーでした。

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ALPINE/LUXMAN LV-105
ラックスが1984年にALPINE/LUXMANブランドで発売したユニークなプリメイン
アンプ。「BRID」の名の通り増幅部にMOS FETと真空管を使った設計は,非常に
ユニークながら,実は理にかなった正攻法だったと思います。力強くはなかったもの
の音の良さで高い評価を得ていたものでした。

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Lo-D HA-8700
ローディー(日立)が1978年に発売した高級プリメインアンプ。MOS FETの威力
を知らしめたセパレートアンプHMA-9500のプリメイン版といったイメージで発売さ
れ,日立自慢の自社製MOS FETを生かした高性能アンプでした。当時のブランド
イメージからか,広く人気を得ることはありませんでしたが,隠れた名機的存在だっ
たと思います。

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Accuphase E-301
アキュフェーズが1981年に発売したプリメインアンプ。当時のアキュフェーズの
エントリーモデルといった存在で,E-303の設計を受け継ぎ,かつ新しさも盛り
込んだ実用的なアンプでした。実はわたしが最初に手にしたアキュフェーズ製品
で,アキュフェーズの音にはまるきっかけとなった1台です。

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YAMAHA CA-1000V
ヤマハが1976年に発売したプリメインアンプ。1973年に発売されたCA-1000
の3世代目にあたるモデルでした。CA-1000シリーズは,1974年のCA-1000 U
1976年のCA-1000Vと型番こそ変わりませんでしたが,実際には中身は別物と
いうほどに進化していました。このCA-1000Vは,A級動作,B級動作をスイッチ一
つで切換えられる方式を受け継ぎつつ,性能を大幅に強化し,優れた性能と優美なデ
ザインを持った高級プリメインアンプの名機でした。

※ここに掲載された写真は,各製品のカタログからの抜粋で,その版権・
 著作権等は,各オーディオメーカーにあります。したがって,これらの写
 真を無断で転載等することは,法律で禁じられている行為ですのでご注
 意ください。        
    
    
現在もご使用中の方,また,かつて使っていた方。あるいは,思い出や印象のある方
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